前回紹介した本格的なカスタムを実際にやってみるとどうなるのかを今回はお見せしたいと思います。

別の楽器に生まれ変わったYAS-62をお楽しみください。

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改造の内容について

実際に行ったカスタムについてご説明します。

リラッカー・リプレート

まずはリラッカー・リプレートを行いました。

元の楽器は冒頭の画像から分かるように一般的なゴールドラッカーの楽器でした。

元のラッカーを全て剥がし、キイはクリアラッカーに、管体は銀メッキに変更しました。

この時代の楽器は今の楽器に比べるとパワーが小さい傾向にあります。

そのため銀メッキを施すことでパワーアップを図りました。

しかし、この時代特有の軽い吹奏感もこの楽器の良さだと思っていたので、全てを銀メッキにするのではなく、キイをラッカーにすることで重くなりすぎないように調整しました。

見た目だけでなく演奏面も考えたカスタムです。

パッド(タンポ)について

主列(メインのキイ)はPisoni PROパッドを使用しています。

音色もですがPROパッドの上品なタッチ感が好みだったので採用しました。

その他のパッド、オクターブなどのクローズのパッドはブラックカンガルーパッドを使用しています。

ブラックカンガルーパッドは防水性能が高く耐久性が高いため、寿命が短くなりがちなクローズ部分に採用しています。

また、特にYAMAHAのサックスはG#キイとLowC#キイがくっつきやすいためそれを防止する目的もあります。

ブラックカンガルーパッドについて

名前の通りカンガルーの革を使用して作られたパッドです。

羊革などで作られている通常のタンポは表面に防水処理が施されています。

カンガルーの革は防水性能が高いため処理を行う必要がなく表面がやわらかいという特徴があります。

音色は音の輪郭が少しぼやけるような感覚があります。

全てのパッドをブラックカンガルーパッドにすることもできますが、部分的に使用することによって複雑な音色を作り上げることもできます。

レゾネーターについて

主列部分のレゾネーターは基本的にプラスチックのレゾネーターを使用しています。

サイズも純正と同じです。

一方でクローズのキイはステンレスで作られたレゾネーターを使用しています。

一見するとSerieⅢタイプのレゾネーターに見えますが、よく見ると表面にヘアライン加工のような細かい溝が入っています。

この溝たちが管体内で音を乱反射させ、吹奏感を大きく変える効果があります。

このステンレスレゾネーターをクローズのキイに使用することで音の豊かさを増しています。

特にこの年代の楽器は高音域の音が痩せやすいため、このレゾネーターにはかなり助けられています。

キイボタン(指貝)について

指貝には黒蝶貝を採用しています。

また、指貝はメーカーによってサイズや形状が微妙に異なります。

今回はヤナギサワタイプの黒蝶貝を使用しました。

ヤナギサワタイプは凹面が深くBisキイも凹タイプです。

個人的にこちらの方が好きだったため使用しています。

ネックについて

ネックはヤナギサワ製の総銀ネックを使用しています。

普段は普通の総銀(画像下)ですが、広いホールなどで演奏するときは総銀+金メッキ+彫刻入りのネック(画像上)を使っています。

他社メーカーのネックですので篏合調整は必須です。

さらに初代62は機構的に現在のYAMAHAのカスタムネックなども使用できないため、その部分も改造をしています。

またネックスクリューは某ショッピングサイトに転がっていた得体の知れないネジを使用しています。

音的にもですが、見た目が黒蝶貝の指貝とマッチしていてお気に入りです。

ネジについて

サックスには様々なネジが使用されています。

今回変更したネジはキーガードのネジです。

ゴールドのネジからシルバーのネジに変えています。

また、ある有名なリペアマンの方に教えていただいたネジの頭を決まった方向に削るという細かい調整も行っています。

また、キイを固定するネジも一部変更しています。

YAMAHAの62以下のグレードのサックスとカスタムシリーズのサックスではこのネジが異なります。

62以下のネジは生産性を上げるため独自の機構が搭載されているネジです。

調整などはしやすいのですがネジとキイのネジ受けの間に小さな隙間が空いてしまいます。

この隙間が楽器の振動効率を低下させたり、小さなノイズを生むことがあります。

このネジを一部カスタムシリーズのネジに交換することで、そういったデメリットを小さくしています。

まとめ

いかがでしたか?

今回はカスタムの一例として実際に施工した楽器を紹介しました。

純正には純正のよさもありますが、カスタマイズして自分だけのサックスを作ってみる魅力も大きいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

静岡県 浜松市のサックス専門店

楽器工房 鰐田商店

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ABOUT ME
Ryusei
中学から吹奏楽部にてサックスを始める。中高と吹奏楽を学び、大学ではビッグバンドサークルに所属。その後は独学でフュージョン・スムースジャズを勉強中。吹奏楽、ジャズ、フュージョンと多くの音楽ジャンルを経験し、現在はその知見や楽器に関する知識を生かしサックス専門店にて勤務。