サックスを始めて、音が出せるようになってきて、リードもいくつか種類を試し、マウスピースも購入すると新たに気になり始めるアクセサリーが、マウスピースにリードを固定するためのパーツ【リガチャー】です。
様々な形状や素材があり、いったいどういう物が良いのか、最初に付いてた物とどう違うのか?マウスピースにリードが固定されれば輪ゴムでも良いのか、はたまた結束バンドでも良いのか、親指と人差し指で挟んで保持するのが良いのか、、、などと考える程にマニアックで実験的な方向に考えが及んでしまいがち(私だけかも)なサックスのパーツ【リガチャー】ですが、今回は現在入手可能なモデルでジャズプレーヤーに人気の高い物を5つ紹介させていただきます。
この記事の監修
昭和音大卒業後、2017年短期渡米、NYで研鑽を積む。現在静岡、浜松を基盤に演奏、音楽教室講師を務める。クラシックサックスからジャズサックスへの奏法の違いを日々研究している。
好きな練習は『オーバートーン』。
吹奏楽・クラシックにおすすめのリガチャーサックスの吹奏感や抵抗感に大きな影響を及ぼすリガチャー。吹奏楽、クラシックでは繊細な表現を必要とする機会が多いため、セッティングの研究をして備えておきたいところです。今回は吹奏楽・クラシック向けのリガチャーを5つご紹介します。...
ジャズ向けにおすすめのリガチャー
1.WOOD STONE/ウッドストーン
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1つ目に紹介させていただくリガチャーは東京の楽器店、石森管楽器のオリジナル商品“Wood Stone”シリーズのリガチャーです。
素材の金属も仕上げの方法も数種類あり、”GP”(ゴールドプレート)や”PGP”(ピンクゴールドプレート、こちらはブラス素材、ブロンズ素材、総銀素材の3種類あり)、”BR”(真鍮製でメッキなし)、”CO”(銅製でメッキなし)、”SGP”(サテンゴールド)そして”SS”(総銀製)の物があり、それぞれに違った吹奏感(吹き心地)や音色の幅のあるリガチャーです。
楽器本体や、マウスピース、リード、指掛けや、スクリュー、ストラップや本体ネック差し込み部分に着けるエンドキャップにまでおよぶオリジナル商品をたくさん開発されている“Wood Stone”ウッドストーン製品の中でも特に人気の商品がこちらのリガチャーです。
”Bob Mintzer”ボブ・ミンツァーや“Mark Turner”マーク・ターナーなど、たくさんの名プレーヤーから支持されているリガチャーです。
2.SILVERSTEIN/シルバースタイン
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2つ目はここ3、4年で使用プレーヤーが爆発的に増えている、“Silverstein”シルバースタイン社のリガチャー”A FRAME”を紹介いたします。
見た目も特徴的なこのリガチャーは、スムースな吹き心地とレガートの繋がりやすさに優れ、とても吹きやすいと評判のリガチャーです。
メッキの違いやシルバースタイン独自のパーツ“Fine Tuner Bar”ファインチューナーバーの装着位置や数の増減により、好みの吹き心地、サウンドの幅広い調整ができます。
また、スクリューのマウスピースとの接地面についているブリッジパッドを取ることによっても音色が変化します。
最近はモデルも増え、スクリュー部分の形状が異なる“T FRAME”や超低音処理の施された”CRYO4”、紐の部分の巻いている回数違いのモデルも選択する事が出来ます。
金属素材のリガチャーと革素材のリガチャーの間にいる様な感覚のリガチャーです。
3.BORGANI/ ボガーニ
引用元:ameblo.jp/akarison/
3つ目に“Borgani”ボガーニ社のリガチャー“FLEXITONE”を紹介させていただきます。
かつてフランスのサックスメーカー“Selmer”セルマー社が製造していたタイプのリガチャーで、現在はイタリアのサックスメーカー”Borgani”ボガーニ社が復刻製造し販売しております。
ボガーニ社はテナーサックス奏者の“Joe Lozano”ジョー・ロバーノが使用するメーカーとしても有名です。少し前2008年頃?にはアルトサックス奏者の”Will Vinson”ウィル・ヴィンソンもメイン楽器として使用しておりました。
そんな名プレーヤーも愛用するサックスメーカー“Borgani”ボガーニ社の製造するリガチャー“FLEXITONE”ですが最大の見た目のポイントはスクリューが無い、という点です。
スクリューが無いことが音色や吹き心地に直接的にどれだけ影響しているかは、このリガチャーにスクリューを付ける改造をして比べないと言及することは難しいですが、優しい吹き心地やスムースなサウンドなどと、ハッキリとこのリガチャー独特のキャラクターがあります。
音色の傾向としてはどのモデルも滑らかなサウンドで、ナチュラルなBrass 、より柔らかい音色のBronze、少しハッキリした音色のNickel Siverの基本3種類のラインナップに加え最近は、音量も増し音色も少しエッジの立つ印象のSolid Silver製の物もあります。
4. Rovner/ロヴナー
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4つ目に紹介させていただくのは、特殊合成ゴムを素材に使用したリガチャーを多く製造する“Rovner” ロヴナー社のリガチャーです。
“Rovner” ロヴナー社の販売している数多くある種類の中で、今回紹介させていただくリガチャーは”Versa”というモデルです。
こちらの”Versa”はリード接地面に最大の特徴があります。”Versa”には付属品として金属製のプレートが2種類用意されており、そのプレートの有無により3種類のセッティングヴァリエーション、またリード接地面のフラップの被せを変える事により、合計6種類のセッティング変更が可能です。
音が良く鳴るセッティングから、音色のソフトなセッティングまで1つのリガチャーで6種類ものキャラクターを変えられる物は、なかなか商品として存在しないのでは無いでしょうか。
Rovnerのリガチャーの中でもこの”Versa”は吹き心地とサウンドに独特なキャラクターがあり使用プレーヤーは名ジャズドラマー、ブライアン・ブレイド自身のグループ”Brian Blade Fellowship“で活躍するジャズサックス奏者“Myron Walden”マイロン・ウォルデンもアルトのラバーマウスピースを演奏する時に使用しております。
5.HARRISON /ハリソン
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5つ目、今回の最後に紹介させていただくリガチャーはクラシックサックスプレーヤーにも人気の高い“Harrison”ハリソンです。
逆締めといわれるタイプのリガチャーで、スクリューはリード側でなくセットした時に上側にくる様に取り付けます。
素直な吹き心地とクリアなサウンドはクラシックのみならずジャズプレーヤーにも人気があり、使用プレーヤーは”David Sanborn”デヴィッド・サンボーンや”Dick Oatts”ディック・オーツなどオリジナルリティ溢れるサウンドの奏者からも評価されるリガチャーです。
定番は”GP”ゴールドプレート仕上げですが近年様々な素材やメッキの違いや、パーツの厚みの異なるモデルも発売されており、”PGP”ピンクゴールドプレートや”SP”シルバープレート、“SGP”サテンゴールドプレート、”SS”総銀製の素材や仕上げ違いにの5種類に加えて、金属が厚めの”forte”フォルテ、そしてリードの設置部分のパーツだけ銅製、他の部分は真鍮製の”DM”というモデルも発売されております。
オリジナルの”Harrison Hurtz”は製造が途絶え、現在は数社が復刻販売している現代版”ハリソン“ですが今回紹介したラインナップは株式会社グローバルの商品です。
様々な種類の中からお好みの物を見つける楽しさもあるリガチャーです。
まとめ
今回の記事では、【ジャズ向けにおすすめのリガチャー5選】をお送りいたしました。
リガチャーは音作りにおいてマウスピース、リードと共にとても大切なパーツですので色々と試していただき、ご自身の好みの音色を探していただく事でサックス演奏も新しい楽しさが見えてくるのではないかと思います。
今回の記事をご参考頂き、リガチャーを試してみたいと興味を持っていただければ嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。