こんにちは、今回の記事ではジャズサックスの基礎練習方法について書かせていただきます。
基本的にはクラシックサックスとジャズサックスは、楽器のコントロールと言う点では練習に共通する部分が多いと思います。
しかし、日々の基礎練習の中に、ジャズを演奏する為のテクニックについての項目も取り入れていくことが、この先アドリブ演奏をしていくためにはとても重要です。
今回の記事ではジャズ演奏をしていく為にオススメの基礎練習方法を3つ紹介させていただきます。
この記事の監修
昭和音大卒業後、2017年短期渡米、NYで研鑽を積む。現在静岡、浜松を基盤に演奏、音楽教室講師を務める。クラシックサックスからジャズサックスへの奏法の違いを日々研究している。
好きな練習は『オーバートーン』。
フィンガリングの基礎練習
まず1つ目は音の動き、フィンガリングに関する基礎練習についてです。
ジャズのフレーズの勉強方法は耳コピと言われる、CDやレコードなど音源を聴いて真似をする練習や、ジャズの教則本を使った習得方法があります。
また、ジャズの教則本については先日別記事でオススメの本を紹介させていただきましたので、そちらも参考頂ければ嬉しいです。
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基礎編
耳コピの練習方法については改めて別の記事で書かせていただきたいと思っておりますが、先ずはジャズの演奏に繋がる基礎の基礎的なフィンガリングの練習方法を紹介させていただきたいと思います。
ジャズらしいフレーズやメロディーを自由に演奏するために大切な事は、音の距離(インターバル)をしっかりと捉えられるようになっていく事です。
普段たくさんの音楽の中で自然に触れている”平均律12音技法”は、1オクターブの音を12音の均等な距離に分けて音の距離を測り、その1つの距離を“半音“と呼びます。
私達の演奏するサックスもこの半音が演奏出来るように運指が設計されております。
何気なく歌ったり演奏する“メジャースケール”ドレミファソラシドという、隣の音に移っているだけのように感じる音の並びにも、“半音“の距離の部分と半音2つ分の距離の“全音“の部分があります。
ドレミファソラシドの中ではミとファの部分と、シとドの部分の2箇所が半音で隣り合っている距離です。
そしてミファ、シド以外の隣り合っている音が全音です、ドとレ、レとミ、ファとソ、ソとラ、そしてラとシ。この部分は全音の距離を作っています。
このように音階の基本は半音と全音の組み合わせです、
メロディーの中で半音と全音を考えてみましょう。
かえるの歌を音名で歌ってみましょう、ドレミファミレドー、ミファソラソファミー。
いかがでしょうか、この曲も半音の部分と全音の部分の組み合わせでメロディーができていました。
このように、ほとんどのメロディーは半音と全音の組み合わせで出来ておりますので、
半音と全音の組み合わせをしっかりと読み解いていくことで、メロディを正しく演奏することが可能になっていきます。
この事をしっかりと理解していく事で、ジャズのフレーズを覚えることや、自由に演奏するための基礎力が身についていきます。
そして、ここからは実践編という事で、音が出せる状況のかたは楽器で音を出しながらお読み頂ければ幸いです。
応用編
先程まで述べさせて頂いた、半音と全音を演奏できるようになっていく為に、私がレッスンでも取り入れている基礎練習は、”半音階”と”全音階”です。
まず基本は”半音階”と”全音階”の上行形、下降形を演奏できるようにするということです、
この練習からやっていただくことをオススメします。
そして、”半音階”と”全音階”の上行形、下降形が演奏できるようになってきたら1つ飛ばしの動きにもチャレンジしましょう。
クラシックサックスの演奏経験がある方はイメージしやすいと思いますが、スケール練習で言うところの3度の動きと言うようなイメージです。(音程的には半音階の1つ飛ばしは3度とは呼びません)
先ずは、半音階の1つ飛ばしパターンです。
続いて、全音階の1つ飛ばしパターンです。
半音階と全音階の1つ飛ばしの上行、下降は慣れるまでとても難しく感じるかもしれません。しかし、これから練習をしていくジャズを演奏するための基礎力を付けていく為にはとてもオススメのフィンガリングテクニックと音の跳躍、距離を掴んでいく為の基礎練習です。
目標の速さはメトロノームを使ってテンポ♩50あたりから初めて、倍の♩100位までテンポアップしていけたら良いのではないでしょうか。
アーティキュレーションの基礎練習
続いて2つ目に紹介させていただく基礎練習は”アーティキュレーション”についての内容です。
先程の“半音階”や“全音階”、ほかにメジャースケールなどの音階練習の時に気をつけていきたいポイントがこの、“アーティキュレーション”です。
“アーティキュレーション”とは、音がうごく時にタンギングをしたり、しなかったりということや、スラーを付けたり、スタッカートにしたりテヌートをつけたりという音の扱い方の事を音楽用語で“アーティキュレーション”といいます。
譜例を挙げさせていただきます。
下記の楽譜のようにドレミファソラシド、レドシラソファミレド、と演奏したいとします。
この音の並びに様々なアーティキュレーションを練習します。
例として4つのアーティキュレーションを紹介いたします。
①は全部スラーで演奏します。タンギングは最初の音だけします。
②は全部の音をタンギングします。
こちらでは全ての音にテヌートを付けています、1つ1つの音が短くならないように気をつけましょう。
③は2つずつのスラーを付けたアーティキュレーションです。
拍の頭毎にタンギングをいれていきます(ド、ミ、ソ、シ、レ、シ、ソ、ミ、ド)。
④はジャズのニュアンスを身につけていく為にとても重要な裏拍からのスラーです。
1つ前のアーティキュレーション③の時にはタンギングしなかった音でタンギングを入れていきます。
③、④共に大切な事は、スラーの2つ目の音(タンギングをしない音)が短くならないようにする、という事です。
クラシック的なニュアンスではここの部分は短くコントロールする事も多いですので、ジャズとの違いという事で注意していきましょう。
メジャースケールでのアーティキュレーションの4種類の演奏に慣れてきたら、先程の半音階、全音階でも練習してみましょう。
段々とジャズの演奏に必要なタンギングの柔軟性が身についていきます。
ロングトーン
そして今回の記事で紹介させていただく3つ目、ラストの基礎練習はロングトーンです。
このロングトーンも基本的にはクラシックのサックスと同じ考え方ですが、ジャズサックスのマウスピースやリードのセッティングで吹いたときに陥ってしまいやすいポイントがありますので、その点を紹介させていただきたいと思います。
そのポイントとは、音を伸ばして最後に少し減衰して終わる時に音が上擦らないないように注意をするということです。
これはもちろんクラシックサックスの演奏においても気をつけなくてはいけないポイントです。
しかし、先ほど書いたようにジャズのマウスピースとリードのセッティングではこの音が持ち上がってしまう、ということがとても顕著に現れる傾向にあります。
この練習はチューナーを見ながら、そしてできれば録音をしつつ音をよく聞き直して、振り返りながら繰り返しチェックしていきましょう。
ご自身で判断が難しい場合は近くにいる先輩の演奏者や、レッスンを受けている先生に音の終わり際が持ち上がっているように、聞こえてしまっていないかチェックしてもらってください。
近くに相談できる方がいない場合は、私もレッスンも行っており、ZoomやSkypeを使ったオンラインレッスンも可能ですのでお気軽にご相談いただければうれしいです。
ロングトーンの練習では出だしと、伸ばしている音のコントロール、そして今回のポイントの終わりの音が上擦らないように、という事も気をつけていきましょう。
鰐田商店からのお知らせ
文末にございます森山瑞樹先生のプロフィール下部のリンクから、森山瑞樹先生のホームページにアクセスできます!
まとめ
今回はジャズサックスの基礎練習について書かせていただきました。
楽器に触れられる15分、30分、1時間が練習の全てではありません。
毎日少しずつでいいので、様々なジャズサックスプレーヤーの音を、演奏を聴く時間を取り入れていてみてください。
また、興味はあるけど、どんなプレーヤーを聴いたらいいかわからない。
と言うかた向けに別の記事で、聴いておくべきおすすめジャズプレーヤーを書かせていただきます、こちらの記事も参考にしていただければ嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回の基礎練習が皆さんのジャズ演奏の参考になれば嬉しいです、また色々なジャズ情報を書かせていただきたいと思っております。
ありがとうございました!