こんにちは!今回の記事ではジャズの練習や勉強におすすめの教本、メソッドを6つ紹介させていただきます。
昭和音大卒業後、2017年短期渡米、NYで研鑽を積む。現在静岡、浜松を基盤に演奏、音楽教室講師を務める。クラシックサックスからジャズサックスへの奏法の違いを日々研究している。
好きな練習は『オーバートーン』。
ジャズの練習や勉強におすすめの教本・メソッド6選
1. Jim Snideroジム・スナイデロ /Jazz Conception ジャズ・コンセプション シリーズ
ジャズサックス奏者のJim Snideroジム・スナイデロ氏著書のJazz Conceptionシリーズは本物のジャズミュージシャンによる演奏が収録されているCD付き練習曲集です。
3冊のグレードに分かれており、1冊目のEasy Jazz Conceptionから始まり、2冊目はIntermediate Jazz Conception、3冊目がJazz Conceptionというタイトルで出版されております。
各曲集にはCDが付属しており、模範演奏のトラックを聴いてイメージを掴んだり、カラオケのトラックで練習したりと、伴奏付きの練習が可能です。
アルトサックス版はシリーズ3冊ともに著者Jim Snidero氏自身による演奏が収録されております。
また、テナーサックス版では、1冊目Easy Jazz Conception ではEric Alexanderエリック・アレキサンダーによる模範演奏、2冊目のIntermediate Jazz ConceptionではTed Nashテッド・ナッシュ、3冊目のJazz ConceptionはWalt Weiskopfウォルト・ワイスコフによる模範演奏が収録されております。
そしてバックのトリオはピアノDavid Hazeltine、ベースPeter Washington、ドラムKenny Washingtonによる本物のジャズリズムセクションによる素晴らしい演奏が収録されています。
この教本のオススメの練習の仕方は、カラオケトラックに合わせてご自身で演奏したものを録音して、模範演奏と聴き比べ、雰囲気がしっかり掴めているか、ニュアンスが真似できているか、という事を繰り返しチェックする方法です。
絵を模写したり字をなぞり書きするように、ジャズの良い演奏をなぞって吹き、良いニュアンスを手に入れていきましょう。
2.Greg Fishman グレッグ・フィッシュマン/HipLicks ヒップリックス
2つ目に紹介させていただく教本はサックスプレーヤー、グレッグ・フィッシュマン著書のフレーズ集、HipLicksです。
このHipLicksは様々なコードを想定したかっこいいフレーズ(Lick)を集めた本です。
CDが付属されておりアルトとテナーの模範演奏とカラオケが収録されています。
ジャズの基本的な練習方法である、1つのフレーズを全調(12Key)に変えていく練習を通して、どんな調性の曲でもフレーズを演奏できるようになっていきます。
ジャズ定番の251のフレーズも1小節ずつコードが変わる長さと、2拍ずつコードが変わる進行という具合に、長さの異なるフレーズが収録されております。
また、ドミナント7コードでのヴァリエーションも豊富に紹介されており、ミクソリディアンからHmp5、リディアン♭7、オルタード、ホールトーン、そしてコンビネーションオブディミニッシュ、と様々なスケールを使用したかっこいいフレーズに触れる事が出来ます。
そして、マイナーキーのフレーズも充実しているのも大きな特徴です。
この著者の他の教本では、ジャズスタンダードのコード進行を使った練習曲集(エチュード)も出版されており、そちらも合わせて練習をする事をお勧め致します。
こちらの教本HipLicksの練習を発展させる方法として、教本で見つけた好みのフレーズをピックアップして、練習をしたいジャズスタンダードの進行に当てはめて自分だけの練習曲集(書き譜)を作っていく、という練習方法もオススメです。
そして演奏に慣れてきたら、書いてあるリックに自分なりの音を加えていくと引き出しもより広がっていきます。
かっこいいフレーズをたくさん知りたいかたにオススメの教本です。
3.Charlie Parker チャーリー・パーカー/Omni Book オムニブック
こちらはジャズサックスの練習をされる方はよくご存知の本かもしれません。
伝説的アルトサックスプレーヤーCharlie Parkerのレコーディングに残されたアドリブ演奏を採譜したものが、こちらのCharlie ParkerのOmni Bookです。
この本は一般的にコピー譜と言われるもので、CDなど音源を聴きながら譜面を見て様々なフレーズを覚えていく、ニュアンスを真似してジャズらしい吹きかたを習得していく、という目的での使用にオススメです。
楽器の教本というのは、段々とレベルアップしていけるように、内容が易しいところから難易度が上がっていくものが多いですが、こちらのオムニブックでは本当のCharlie Parkerの演奏ですので、かなり難易度が高く、最初は取っ付きにくさを感じられるかもしれません。
しかし、この曲集を繰り返し、繰り返し練習することでアルトサックスを演奏するためのテクニックが自然と、またしっかりと身についていきます。
曲のフィンガリングとリズムを追えるようになってきてからは、Charlie Parker本人の吹いているニュアンスを、音源をよく聴き真似するようにしていくと、ジャズらしい吹きかたが身についていきます。
また最近発売されたVolume2.では1冊目には含まれていなかった録音がたくさん採譜されておりこちらもオススメです。
4.Jerry Bergongy ジェリー・バーガンジー /Inside Improvisation Seriesインサイド・インプロヴィゼイション・シリーズ
テナーサックス奏者のジェリーバーガンジー著書のインサイド・インプロヴィゼイション・シリーズは現在7冊出版されております。
1冊ずつ異なるテーマを持った内容で、ジャズの音使いについてじっくり取り組んでいきたいかたにはオススメのシリーズです。
そのインサイド・インプロヴィゼイション・シリーズの中のVol.3 ジャズ・ラインを紹介させていただきます。
この本ではビバップスケールと呼ばれる事も多い半音の入れかた(経過音)練習方法が書かれております。
各号とてもマニアック(しかし重要)な内容ですがジャズのフレージングの幅を広げたいかたにはオススメの教本です。
5.宮崎隆睦/サックスアドリブマスターブック
こちらは元T-SQUAREのサックス奏者、宮崎隆睦氏によるアドリブ演奏をしていくための練習の仕方、考え方を文章と譜例でとても丁寧に解説されている本です。
中級者以上の内容だとは思いますが、これからどの様に練習していったら良いか、やり方を求めているかたにオススメの教本です。
かなり内容的に濃い物で、最近発売された教本ですがこれから多くのかたに支持され、使われていく教本だと思っています。
譜面だけの本ではなく、言葉で説明されておりますので、先生に習っていなかったり、周りにアドバイスを受けられるかたがおられない、自己学習をしていくかたにもオススメの教本です。
6.Klose クローゼ/25の日課練習
こちらはジャズ用の教本ではありませんがサクソフォン練習においては良く使われる名著で、ジャズプレーヤーにもおすすめの本です。
内容はフィンガリングの練習曲集で、楽譜を読む力(初見力)もとても鍛えられ、曲を最後まで吹き切るためのスタミナや集中力をつける為にも役立ちます。
私の教室ではクラシックサックスの生徒さんはもちろん、ジャズサックスを希望する生徒さんにもオススメしている教本です。
以前はクラシックサックスを希望するかたのみにオススメしていた教材ですが、クラシックの資料に比べて、基本的な楽器演奏のメカニカルな練習をする譜面に触れるジャズ向けの教本が少ない様に感じており、基礎力向上を目指すかた向けにオススメしたところ、とてもよい反応があった為、最近ではジャズサックスをやっていきたいかたにも購入いただくことが増えてきました。
しっかりとしたサックス演奏の基礎力を身につけていきたいかたにオススメの教本です。
まとめ
いかがでしたでしょうか、今回の記事ではジャズの練習や勉強におすすめの教本、メソッドを紹介させていただきました。
今回ご紹介させていただいた様々な教本を通して、ご自身に必要な練習や、好みの練習方法などを見つけていただく事により、演奏する楽しさがさらに広がっていくと思います。
教本を選んでいく参考にしていただければ幸いです。
また、教本という物は基本的には目から情報を得るものが多いですが、音楽を演奏するクオリティを高める為には、耳からしか得られない情報もある、という事を大切に練習していくことが重要だと私は思います。
今回は【ジャズの練習や勉強におすすめの教本・メソッド6選】をご紹介しました。
最後までご覧いただきありがとうございました!